作家の言葉
この三年間に、私の六十年間を見ていただける展覧会が、三つの館で開催されました。想いがけないことでした。
多治見では、私の身辺にある様々なものも陳列しました。
何を観て来たのかは、どんな感じものを作りたかったのか。
何を心掛けて来たかです。
これから先、どう生きたかは、これから創るものが語ってくれるでしょう。
どこまで、いつまでやれるのか、自由に生きたいものです。
吉田喜彦
主催者よりご挨拶
2014年1月以来、2年振りに吉田喜彦先生の最新作による個展を開催いたします。
吉田先生は今年傘寿(満80歳)を迎えられましたが、益々ご健勝で、御創作意欲も全く衰えを見せず、悠々たるうちに、茶陶を中心とする諸々の造形作品も自然体で、枯淡と若々しさとを内包かつ放射して、観る者を捉えて止みません。
また、近年では、世田谷美術館、岐阜県現代陶芸美術館、益子陶芸美術館にて、大掛かりな回顧展と、先生ご所蔵の古美術コレクションによる特別展が相次ぎました。吉田先生の永い陶業から生まれた優品の数々、そして美術全般へのあたたかいまなざしの結晶ともいうべき、優良コレクションとを、広く知っていただいた好機会となりました。
永年にわたる古美術研究の成果=精華と、やわらかく瑞々しい発想と造形力とが渾身一体となった新作の数々は、永遠の生命を宿るであろう可能性に満ちて、すこぶる魅力的といえましょう。
短い会期ではございますが、ぜひご来駕ご高覧いただきますよう、ご案内を申し上げます。
2016年12月 ギャラリーこちゅうきょ
撮影:尾見重治・大塚敏幸(S&T PHOTO)