
2020年11月に「温厳涼雅」の副題のもと、川瀬忍先生は白磁・青白磁を髣髴としつつも正統な青磁技法による新鮮味溢れる「新しき青磁=白青磁茶碗」の数々を試み、世に問われました。世評は頗る良く、作陶歴中でも出色の透明感プラス奥深さに改めて川瀬先生の高度な技術と美学の結晶を再認識された向きが少なくありませんでした。また、青磁の色調のコントロールが大いに発揮された4種の青磁茶碗も完成度と精度が高く、今後の発展が大いに期待されましたこと、ご観覧の皆さまには新鮮な記憶に残っているかと想像します。
昨年は国内での大きな発表をされず、白青磁と4種の色調による青磁の更なる進化を研究される充実した時間を送られ、新たな胎土=磁土による成型も孜々として試みられました。
十分な製作準備期間を経てこのたび世に問われる青磁が「玲磁(れいじ)」、砡(玉)が触れ合う清々しくも奥床しい音色を視覚と触覚のイメージに重ね合わせたともいうべき、全く新しい青磁が生まれました。衷心からのメッセージは別項の川瀬先生から寄せられた文章中に自ずと表されていますのでぜひご一読ください。
[川瀬先生から寄せられた文章]
またもうひとつの副題「あるかなし」。
円熟期をむかえつつある先生のたくまざるユーモアとウィット、そして青磁への愛情とが深く籠められていることかと感じます。今回の3本の柱というべき茶碗、盒子(蓋物)、盃を手に取られれば自ずとご理解いただけることと存じます。
ぜひ会場にご来駕いただき、充実した川瀬忍青磁の真骨頂を感じ取っていただければ主催者にもこの上ない悦びでございます。
謹んでご案内を申し上げます。
2022年10月
ギャラリーこちゅうきょ
撮影:S&T photo
| 1950 | 神奈川県に生まれる |
| 1968 | 祖父(初代竹春)、父(二代竹春)のもとで作陶を始める |
| 1978 | 日本工芸会正会員(2006退会) |
<展覧会>
| 1976 | 個展(寛土里・東京)(以後21回開催) |
| 1985 | 個展(壺中居・東京)(以後14回開催) |
| 1996 | 現代の陶芸美-凛-(滋賀県立陶芸の森) |
| 2003 | 白磁・青磁の世界展(茨城県陶芸美術館) |
| 2009 | 個展(Joan.B.Mirviss Ltd・ニューヨーク)(以後4回開催) |
| 2010 | -茶事をめぐって-現代工芸への視点(東京国立近代美術館工芸館) |
| 2011 | 川瀬忍の青磁 天青から静かなる青へ(菊池寛実記念智美術館) |
| 2014 | 青磁のいま-受け継がれた技と美 南宋から現代まで(東京国立近代美術館工芸館) |
| 2018 | 川瀬忍 作陶50年の間(菊池寛実記念智美術館) |
| 2018 | 青の時代 現代日本の青磁(益子陶芸美術館) |
<受 賞>
| 1981 | 日本陶磁協会賞 |
| 2013 | 日本陶磁協会賞/金賞 |