キャストブロンズ=青銅鋳造の第一人者である畠山耕治先生の新作展は当ギャラリーとして2007年以来、5年振りの機会となる。
作家は常に現代の「工芸=美術」の限界と可能性とに想いを凝らし、堅実かつ恒久の造形を手掛けてこられたが、ここ近年は日本の伝統に息づく「Vessel=器」を独自の視点で見直し研鑽を積んでこられた。
「ふたのある形態」は作家のライフワークとなる筈だが、「茶器」はまさに現時点における日本伝統工芸への試みのひとつの回答と云って過言ではない。
「香合」はこれまでのモジュールから見れば最少の寸法ではあるが、「造形と用の美」すなわち柳宗悦が提言した問題に対するユニークな回答を体現しているといえよう。
「水指」は作家の今までの作品群を目にしたひとならば、見立てから独立した「用」をダイレクトに表現した造形として新鮮な衝撃を感じるはずであろう。
作者曰く「侘びの漂う一会が現出する場に、微かな素材の意識を漂わせてみたい」、現代日本文化を覆う閉塞感を打破し、新しいムーブメントを創世しようとする意気を今回のラインナップから感じて汲み取っていただければ幸甚である。
2012年6月 ギャラリーこちゅうきょ
| 1956 | 富山県高岡市に生まれる |
| 1980 | 金沢美術工芸大学工芸科鋳金専攻卒業 |
| 2017 | 金沢美術工芸大学工芸科教授(~2022) |
<展覧会>
| 1995 | Japanese Studio Crafts(ヴィクトリア&アルバート美術館/イギリス) |
| 1998 | Contemporary Japanese Crafts(デンマーク国立博物館/デンマーク) |
| 2000 | うつわをみる-暮らしに息づく工芸-(東京国立近代美術館工芸館) |
| 2002 | 近代の工芸-百年の歴史(東京国立近代美術館工芸館) |
| 2006 | Collect(ヴィクトリア&アルバート美術館/イギリス) (2007,2008) |
| 2007 | 工芸館30年のあゆみ(東京国立近代美術館工芸館) |
| 2010 | 現代工芸への視点―茶事をめぐって(東京国立近代美術館工芸館) |
| 2012 | 現代の座標(東京国立近代美術館工芸館) |
| 2016 | 革新の工芸-「伝統と前衛そして現代(東京国立近代美術館工芸館) |
| 2018 | ジャポニズムの150年(パリ装飾美術館/フランス) |
| 2019 | 明治の工芸・平成の工芸(ギリシャ近代文化博物館/ギリシャ) |
| 2022 | 畠山耕治-青銅を鋳る(菊池寛実記念 智美術館/東京) |
<受 賞>
| 2000 | タカシマヤ文化基金/タカシマヤ美術賞 |
| 2007 | 佐野ルネッサンス鋳金展/大賞 |
| 2012 | MOA岡田茂吉賞/MOA美術館賞(工芸部) 菊池寛実記念智美術館「茶の湯の現代」/奨励賞 |