(上)	01:林紅村「砧青磁双耳花瓶」W.12.0 /D.12.0/ H.25.0 cm ※参考出品  (左) 32:林秀行「易」W.11.0/D.11.5/H.9.0 cm (右) 147:林慶一「陶筥」W.9.5/D.7.0/H.8.5 cm

(上) 01:林紅村「砧青磁双耳花瓶」W.12.0 /D.12.0/ H.25.0 cm ※参考出品
(左) 32:林秀行「易」W.11.0/D.11.5/H.9.0 cm
(右) 147:林慶一「陶筥」W.9.5/D.7.0/H.8.5 cm

 04. 林紅村「白高麗香炉」 W.8.5/D.8.5/H.9.0cm  	※参考出品 撮影:畠山たかし

04. 林紅村「白高麗香炉」 W.8.5/D.8.5/H.9.0cm ※参考出品
撮影:畠山たかし

上から 1. 林秀行「禽」  	W.13.5/D.12.0/H.	12.0cm  	  2. 林秀行「序」  	W.15.0/D.15.0/H.	8.5cm  撮影:畠山たかし.

上から 1. 林秀行「禽」 W.13.5/D.12.0/H. 12.0cm 2. 林秀行「序」 W.15.0/D.15.0/H. 8.5cm
撮影:畠山たかし.

上から 159. 林慶一「陶筥」  	W.	10.5/D.	10.5/H.7.5cm  102. 林慶一「陶筥」  	W.	9.5/D.	9.5/H.6.5cm  121. 林慶一「陶筥」  	W.	10.5/D.	7.0/H.6.0cm 撮影:畠山たかし

上から
159. 林慶一「陶筥」 W. 10.5/D. 10.5/H.7.5cm
102. 林慶一「陶筥」 W. 9.5/D. 9.5/H.6.5cm
121. 林慶一「陶筥」 W. 10.5/D. 7.0/H.6.0cm
撮影:畠山たかし

林家の「時の地層」展

会期:
会場:壺中居

主催者よりご挨拶

 

2014年3月、弊社では「時の地層」の題下に、林秀行先生(1937年生まれ)の最新作、本格備前焼成による「陶彫」の小品約100点による展覧会を開催し、内外から広くかつ温かい御反響をいただきました。

その頃から、林先生には「亡父・紅村(こうそん)の遺品=遺作と自分の作品、そして息子の作品を並列するのが夢なのだが…。」との述懐をしばしば漏らされました。

機が熟したと云うのでしょうか、弊社の展示空間にて、林家三代(紅村~秀行~慶一)の作品を展観する稀有なる機会に恵まれました。

林紅村先生(本名、林守一 1906-1985、享年79歳)は美濃に生まれ、10歳時に京都に移り、京焼の伝統焼成と中国古陶磁の研究に邁進され、とりわけ「砧青磁」と「白高麗」、そして独自の技法=「鉄磁」を考案されて自家薬篭中のものとされました。
堅実な基本技法のもと、繊細かつ品格溢れ、細部にまでおよぶ高い完成度が目を見張らせる、花器、香炉、御茶道具は、まさに「名人芸」の名に恥じない高品位・高品質のもの。そして、日常食器と懐石用食器はデザインと品質、使い具合のバランスが絶妙で上々出来、真骨頂の数々といえましょう。

林秀行先生は言うまでもなく、戦後日本~を代表する「陶の造形作家」の巨匠ですが、近年、特に精力を注がれる「小品」の発表で、衰えぬ創作力をご提示されてこられています。今回は久しぶりに「緑釉=織部技法」による小さな陶彫、良寛和尚の漢詩からインスピレーションを受け、熟考を積み重ねたうえでの造形を手掛けられました。
60点余の1点1点に、成熟を増した林秀行先生の造形哲学が内蔵されているものです。

林慶一先生(1964年生まれ)は、家伝の焼成技法を自家薬篭中のものとされるよう、日々研究されています。奇をてらわない、正々堂々としたその作風は爽やかであり、新鮮そのものといえましょう。花器と食器が彼の最高の持ち味が発揮されるとは、祖父・紅村先生譲りといえるかも知れません。一方で、個性溢れ、同時代感覚が横溢する造形感覚は、厳父・秀行先生の血が流れている証なのかも知れません。今回、弊社で慶一先生の新作を初めてご紹介する好機ともなり、悦びに堪えません。キャリア初の「筥(はこ)」を70点、ご発表されるはこびとなりました。

林家3代の「地層」を垣間見て、ひとつのファミリーヒストリーの一端に触れられる稀有の機会となることかと、主催者も心から楽しみにしております。ぜひ、ご来場ご高覧下さい。

※林秀行先生の奥様、武子さまが逝去されて、はや今秋は七回忌にあたります。故人を偲んで、武子さまがご生前に残された御自作を秀行先生が精選されて、会場に展示することとなりました。併せてご高覧いただき、在りし日の武子さまを振り返っていただければ幸甚でございます。

 

2016年11月 ギャラリーこちゅうきょ    

 

 

作家の言葉

 

以前から、三代展をしたい、との話や、三代展はしないのか、との話をいただいていたのですが、祖父と父との二代展から、私を含めた三代展を、となりました。そのさい、ロクロ技法による陶筥をぜひ、との話で、陶箱を製作。初めての三代展を、との運びとなりました。私自身、楽しみにしておりますが、皆様も楽しんでいただければ、と願っております。

 

林  慶一  

 


 

略歴    

 

林 紅村(はやしこうそん)

1906   
岐阜県に生まれる。本名、林守一(もりかず)

1915   
京都に移る

1985   
逝去、享年満79歳

都山流尺八、大師範「林佳意山」としても名声を博す 

 

 

林 慶一(はやしけいいち)

1964   
京都市に生まれる

1986   
嵯峨美術短期大学(現、京都嵯峨芸術大学)立体造形科を卒業

1994   
京都府立陶磁器高等専門学校研究科を卒業

1999   
初個展(天満屋本店、岡山)

2007   
京都造形芸術大学教員「陶芸」展(長崎歴史博物館、長崎)

2008   
「美との出会い‐師と弟子の展覧会‐炎の芸術」(宮崎県立美術館)

2011   
「極東アジア工芸家交流展」(SANMOKU ART GALLERY、釜山)

2015   
「京焼歴代展‐継承と展開‐」(京都市立美術館)

Artist

林 秀行 HAYASHI Hideyuki

(1937-2024)

1937 京都府に生まれる
1959 京都市立美術大学彫刻科を卒業
1966 走泥社同人となる
1995 京都造形芸術大学教授(~2009)
2024 逝去

 

<展 覧 会>

1973 「現代工芸の鳥瞰」(京都国立近代美術館)
1986 「前衛芸術の日本1910-1970」(ポンピドゥーセンター、パリ)
1990 「現代の陶芸/関西の作家を中心にして1980-1990」(和歌山県立近代美術館)
1992 「現代陶芸の系譜 土と炎の芸術 百年の歩み」(姫路市立美術館)
1993 「現代の陶芸1950-1990」(愛知県美術館)
1996 「磁器の表現1990年代の展開」(東京国立近代美術館工芸館)
1997 「陶芸 林秀行」(国立国際美術館、大阪)
1998 「戦後前衛陶芸の旗手 走泥社」展(広島県立美術館)
1999 「やきものの20世紀」展(滋賀県立陶芸の森陶芸館)
2001 京都の工芸 1945-2000(京都国立近代美術館、東京国立近代美術館工芸館)
2023 走泥社再考(京都国立近代美術館、菊池寛実記念智美術館)

 

<受 賞>

1973 日本陶芸展/文部大臣賞
2004 京都美術文化賞

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