ごあいさつ

14代今泉今右衛門先生と前田昭博先生は目下「日本工芸会」の中核を担う作家として
精力的に制作活動を展開しています。色絵と白瓷という技法の壁を越えて、それぞれの
作品が持つ共通点はヒューマンな「あたたかさ」とセンシティブな「造形」ではないで
しょうか。

2009東美アートフェア秋に参加するにあたり、このお二人の先生に相談し、「光」
と「影」を全面的に意識して全く新しい造形の試みをしていただきました。「陰翳頌」
すなわち「光と影を讃える歌」と云うテーマ設定をお二人は快諾してくださいました。

14代今泉先生は13代から継承した色鍋島の伝統技法に立脚しつつ、独自の「墨はじ
き」「プラチナ彩」等々を積極的に取り入れて天性のデザイン感覚と相まって、完成度
の高い作品を手掛けられています。今回は全く新しいコンセプトの造形作品「深想磁壺」
のシリーズと、斬新な形態と緻密な文様が一体化した「鉢」を作っていただきました。
哲学的なイメージすら想起させる作品のラインナップになりました。

前田先生は白磁=白瓷のマエストロといっても過言ではないといいでしょう。30年余
の実績を積まれ、近年は各種権威のある賞の受賞が続き、日に日に存在感が増してこら
れました。永年にわたり「蓋」と「本体」が一体化した白磁の制作を構想してこられ、
秘かに研究を続けられ、今回初めて完成品を世に問われます。「面取」と「捻」の技法
と相まってバランス感覚と品格が横溢した見事な作品のラインナップになりました。

短い展覧会期ではございますが、ぜひ会場へご来駕の上、ご高覧くださいますようご案
内を申し上げます。


2009年  10月
(株)ギャラリーこちゅうきょ 





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